病院紹介

4.他施設からの病理検体の診断件数

項目の解説

患者さんが病院に来られると、適切な治療のために適切な診断が必要となります。病理診断とは、患者さんの体から病変の組織や細胞を採取し、それを顕微鏡で観察して診断することで、確定診断として大きな役割を果たします。病理診断には、「細胞診断」・「生検組織診断」・「手術材料組織診断」・「術中迅速診断」・「病理解剖」などの業務が含まれます。

 
これらの診断は臨床医に報告され、良質の医療を提供することに生かされています。


従来より当院では、積極的に外部施設の病理組織標本の診断を行っており、地域医療の質向上に貢献しています。

 

定義・計測方法

 

年推移

【グラフ1】

 

 

 

 

当院の病理診断科には、病理専門医、細胞検査士が所属しています。病理医は全国的に少なく、がん診療連携拠点病院においても、13%の施設で常勤の病理医が不在というデータが出ています(2016年 厚生労働省調査)。このような現状の中、当院が他施設から組織診断や術中迅速診断をコンスタントに受け入れ続けることで、病理医不在の中小施設でもある程度の手術や検査が実施可能となります。

2022年の組織診断件数は5,598件でした。そのうち、他施設からの総依頼件数は718件で、うち迅速診断数の件数が51件(7.1%)でした(グラフ1。他施設依頼分の詳細をグラフ2で表示)。2019年以降は、他施設から依頼された診断数は増加しています。術中迅速組織診断にも対応しており、地域の小病院での手術をサポートし続けております。

患者さんがご自宅近くの施設などで安心して医療を受けられるという「医療の均てん化(※2)」へつながる重要な手段です。私たちは、地域医療支援病院の病理診断科として他施設をサポートし、今後も引き続き地域医療の質向上に貢献したいと考えています。

※1)迅速診断:術中迅速病理診断。外科的手術や内視鏡手術時に行われる病理診断。手術中に摘出した腫瘍が良性か悪性かを判断したり、取り残しがないか調べたりします。その結果によって適切な術式を選択することができ、大がかりな手術となったり、追加手術をせずに済み、患者さんの負担低減へとつながります。

※2)均てん化:全国どこでもがんの標準的な専門医療を受けられるよう、医療技術等の格差の是正を図ること。